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「THE KINKS『ONE FOR THE ROAD』リマスター復刻盤CDライナーノーツ
ビクターVICP-60700(1999年) より

kinks


作品紹介●小松崎健郎

前ページの続き)バッヂのレコードは何枚か持っていたものの、コレだけは持ってなかった。コータローから貰った当時は気付かなかったのだが、それからかなりたって聴いてみて何故彼が僕にこのレコードを手渡したのか、ようやく謎が解けたのだった。1曲目の「Message From UK」という曲なんだけども、この曲の歌詞に「♪メッセージ・フロム・レイ・デイヴィ〜ス♪」と歌う箇所があるのだ。しかも良〜く歌詞に目を走らせると、どうやらこの曲は英国からやって来たベテランのロックンロール・シンガーのエネルギッシュなパフォーマンスに感動した作者が「自分たちも同じようにロックし続けてみせるぜ!」と高らかに宣言した、日本初のキンクス賛歌であることに気づく。そう言えば、ギターのリフなんてモロ「カム・ダンシング」。恐らくはバッヂのメンバーも1982年の、あのキンクスの初来日を見に行って思わず興奮して、勢いあまってこのナンバーを作ってしまったんだろう。

(中略[曲解説])

 最後に僕にとって実はこのアルバムの最大のハイライトは、当時プリテンダーズやジャムがカヴァー・ヒットさせた「ストップ・ユア・ソビン」でも「デヴィッド・ワッツ」でも、またヴァン・ヘイレンがハイパーにアレンジしてキンクス再評価をもたらした永遠の名曲「ユー・リアリー・ガット・ミー」でもない。そう、「 オール・オブ・ザ・ナイト」の冒頭で聞かれるレイ・デイヴィスの絶叫、「Rock bands will come, Rock bands will go, but Rock'n'roll is gonna go on forever(数多くのロックバンドが現れては消えてゆく。しかし、彼らが歌ったロックンロールそのものは永遠に消えることはない)」だったりするのだ。これはレイの「生涯いちロックンロール職人宣言」であると同時に、すべてのロックンローラー、すべての音楽ファンに宛てた愛情溢れるメッセージでもある。
 冒頭で述べた博多出身のザ・バッヂも、人気的には確かに単なる星屑のようなバンドだったのかもしれない、今メンバーたちもロックとは無縁の日々を送ってるのかもしれない、しかし、僕は今回のライナーノートを書くにあたって真っ先に思ったのは彼らのことだった。何人かはきっと今でも彼らのことを覚えてるはずだ、そして彼らがキンクス賛歌を歌ったことも。そして多くのファンは知っている、キンクスがあの日、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたことを。そして、今でもそれを見るのは決して不可能なことではないということを。
「Rock bands will come, Rock bands will go, but Rock'n'roll is gonna go on forever」。そう、そして僕たちはやっぱりキンクスが好きだ!!

©1999 Takeo Komatsuzaki


小松崎健郎氏についてはご存じの方も多いでしょうが、ミルクウッドレコードを主宰し、ライター、DJ、ロックバンド「ミゲルとジュリアーノ」など、広く活動されています。最近でもキンクス・トリビュートCD「KINKY BOOT」のプロデュース、渾身の一冊「ザ・キンキー・ファイル」、徹底研究「ザ・フー・ファイル」(ともにシンコー・ミュージック刊)の監修・執筆など、枚挙に暇がありません。 詳しくはぜひ、「ミルクウッドレコード」のサイトをご覧下さい。
http://homepage1.nifty.com/milkwood/


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