「WE ARE THE BADGE」(1984年)より
田中信昭
1965年頃の曲で「アイ・アム・ア・ロック」という曲がある。サイモン&ガーファンクルが売れなくて、一時別れた時にポール・サイモンがそれまで書きためていたストックの譜面の束をかき集め、ギター一本で録音した「ポール・サイモン・ソングブック」の中のA-1の曲だ。
愛を語るな、
それは私を通り過ぎた言葉、
それは今、
私の記憶の底に眠っている。
愛を知らなければ、
愛に泣くこともないのだ。
私は岩だ、
私は島だ。
と、救いようのない孤独感を唄ったもので、ポール自身「この歌は、僕の人生の中で精神的にも一番まいっている時に出来たもので、本当に打ちのめされていた。孤独があんな風に自分自身に襲いかかってくるなんて、それまで考えてみたこともなかった」と、語ったそうだ。
7年前、東京で4年程活動していたバンドを解散し博多に戻った時、何らかの形で音楽だけは続けたくて、ライブハウス“照和”でギターとハーモニカを抱えて、一人で唄っていたときにこのレコードを手にした。
本当は自分にとって一番つらい歌だが、今でも心に残る一曲だ。
ボブ・ディランの「Forever Young」「The Times They Are Changin'」からは、ギター一本だけでもロックができることを教わったような気がする。
「ロックは楽器がどうのこうのというんじゃなく、その人の生き方、言葉、唄うことに対する気持ちで決まる」と僕は思っている。
その年の春に、中村昭二と出会った。
田中信昭 Selected Disc